よるにゆるりと

本をよむこととふらふら歩くことがすきです。

「誰にも会わない」という予定をつくってみた

 

GWが終わってしまいましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
人によっては9日間、あるいはもっと…?
休みなんてない、という方もいらっしゃいましたよね。おつかれさまでした。

 

わたしのGWはカレンダー通りに5日間。
基本、週末のうちどちらかは遊びに行ったり、ご飯に行ってひとと会ったりしているのですがこの5日間わたしは、あえて誰にも会わない、という予定を立てました。

 

それは4月末大きな仕事をひとつ終えたばかりで少しゆっくりしたいな、という気持ちがあったことと、もう少し自分のこと考えてあげたいな、と思ったから。

 

なにをしたら自分が楽しくいられるんだろう
どう過ごしたら心穏やかにいられるんだろう

 

頭ではいつもわかっているつもりだったけど、じゃあ実践しているか、というと楽なことに流されがちであんまりできていない。

できていないってことはそれがやりたいことなんじゃないの?
とも思うのですが、明らかに気持ちも身体も喜んでないんですよね…。

というわけで、普段きちんとやりたいと思いつつちょこちょこさぼりがちだったことから目を背けないでたっぷり贅沢に5日間を過ごしてみました。


▼部屋をきれいに保ってみる

実家にいたときは気が付かなかったけど、わたしは自分のテリトリーは大切にしたいタイプのようなのです。
だけど気持ちに余裕がないとやっぱりおざなりになりがちで、そんな自分のことすごく嫌だなって思って蓋をしてまた汚れていって…という負のループ。

これはどっかで断ち切らにゃあかん!と元々ものは少ないほうですが、さらに減らしてみました。

わたしが一人暮らしを始めてから大体1年経つのですが、その間使わなかったということはもうそれは当面必要がないと判断してさようならしました。
自分がもっているものは全部わかっておきたいし、どれも愛着を持っていたい。
持ち物は少ないほうだと思うけど、まだまだシンプルに生きられるとわかってすごく嬉しくなりました。

▼食べたいものに忠実になる

 

1日は三食だから、とか、栄養バランス、だとか。
ちゃんとしなきゃという気持ちが強すぎてここ何週間か「食べるということ」がわからなくなっていました。
何が美味しいかもわからないし、何を食べてもお腹いっぱいにもならない。
良くないのはわかっていても、わからないことに時間とお金をかけて向き合うほど余裕もない。
なので、とりあえず食べたいと唯一思った「大根の煮物」をひたすらに食べておりました。
王道の和風、トマトべースの洋風、今度はお酢を入れたさっぱり和風、それからしっかり中華風。
たっぷり味が染みた大根を美味しいなあと思いながら食べられたので、また食べることを楽しめそうで嬉しくなりました。

▼何でもいいから運動してみる

 

運動については、とにかく意識しないとだめで、すぐやらない言い訳を見つけてしまうから朝は起きたら「ラジオ体操をする」って決めました。

毎朝、半分寝ながら始めるのですが、終わるころには目覚めているから本当に良いです。
第一だけなら3分くらいで終わるのに全身運動できてるってラジオ体操すごい。
いったん動き始めたら気持ちものってきてそのあとは筋トレしたりストレッチもできて、身体もすっきりしていくのがわかって嬉しくなりました。

▼できる限りインプットをすること

 

勉強をすること、本を読むこと、映画を観ること。

ひとつ資格を取りたいな、と考えていて。せっかくなので5日間しっかり向き合ってみました。
働き始めると自分のために勉強するってなかなか難しいですよね。
だけど、いいなと思っていることだったり、興味があったりすることだから、ただただしんどい…というわけではないところが学生のときとは少し違うかな。
去年はへーーーー!!というたくさんの発見とともに世界遺産検定をとれたので、今回も好奇心のみで試験日まで突っ走ってみようかなと思っています。

映画ももう一度観たいな、と思っていたものと、新しく出会えたもの、どれもよかった。
視覚も聴覚も使ってガンガンに訴えてくる感じ、本を読むことで得られるものとは
また違ってとてもすきです。

それからもちろん読書!
ここ最近滞りがちだった「本にたっぷりふれたい!!!」という欲に最も忠実だったので出来うる限り読み続けました。
大好きな児童書も、小説も、自己啓発系も、新規開拓のためのレシピ本もたくさん。
面白い本にも、好みに合わなかったものもあったけど、どの本に出会えても感じたことをわたしなりの言葉にしてみたいと思うようになりました。

まえはため込むばかりでそれを外に出すことが嫌いだったけど、最近はこんなにたくさん素敵な言葉たちに出逢えているのだから、わたしもわたしなりのやりかたで言葉を伝えてみたい、と思えています。

それを再確認できたから嬉しくなりました。

 

 


すべての項目で「嬉しくなりました。」で終われました。

わたしは、わたしが「こうでありたい」と思える姿に従って生きていくことが最高にだいすきだし、楽しいなと実践して確かめることが出来ました。
暇を持て余して飲みに行ってしまうかなと始まる前は思っていたのに、毎日やりたいことがたくさん出てきて一日がとても24時間では足りなかった…!ことにもびっくり。

外に出かけることもだいすきだけど、とことん自分に向き合ってみたら自分の取り扱い方が前よりわかった気がして少しだけ、生きることが楽になった気がします。

大型連休、こんな使い方もありでした。

おしまい。

『魔法があるなら』

 

魔法があるなら

魔法があるなら

 

 

 

魔法なんてひとつも使ってないのにこんなに夢のあるおはなしには出会ったことがないかもしれない。

 

わたしは基本的にファンタジーがすきだ。
少し古い町並みに怪しげなお婆さんに心踊るような魔法の数々。
いま、わたしが暮らしている現代日本では到底起きそうもないような。

 

ただし、今回おはなししたい「魔法があるなら」はタイトルこそ使っているものの舞台は現代だ。
魔法は登場しない。
なのにずっとずっときらきらしている夢のようなおはなし。

 

 

 

 

小さいころ大きなデパートに行って、一面に広がるベッドの数々や、無限にある(ように見える)おもちゃのやまにわくわくしたことはないだろうか。

 

おっきくてふかふかのベッドにダイブしたり、おうちにはとても置けない規模のミニチュアのお人形ハウスを眺めたり、本屋さんの子供コーナーでひたすらに豪華な飛び出す絵本を眺めたり、壁全部を埋め尽くすいろんな大きさのテレビでだいすきな番組がひとりじめできたら。

 

すきなだけ、誰のことも気にせず出来たならきっと、いやぜったい幸せだ。

そんなことが、ぜんぶ自由にやりたい放題出来ちゃうんです。
そう、デパートに住んじゃえば!

 

 

ふわりと楽観的なママと元気いっぱいまっすぐな妹にはさまれて、心配性なお姉ちゃん、リビーが主人公。
どんなにママが働いても子供ふたりを養えるほどには稼げなくてクリスマスプレゼントがスコットレーズ(デパート)のウインドウを眺めるだけ、という慎ましすぎる生活を送っている。
なおかつ、ある一定の期間が過ぎると、ママの心のなかのジプシーが騒ぎ出して月夜の大飛行が始まってしまうのだ。

そんな何度目かの大飛行先は豪華で立派で最高に素敵なスコットレーズ………!

 

 

 

 


…ああ、これ夜逃げしてたんだ。
初めて読んだ小さい頃には気付けなかった。

同じ場所には住めない、のは、もちろんママの気持ちの部分もあったかもしれないけど、やっぱり大半は家賃が払えなくなってしまったから。…なんだろう。

 

明るくて能天気に見えるママが最後のほうで「臆病だったの。ほんとのことを言うより、ごまかしてるほうが、楽だったの」と、本音をこぼすシーン。

やっぱり母親は強い、と唸らずにはいられない。臆病だからなんかじゃない。本当の気持ちを話さなかったのは明るい楽しいおうちでいたかったからだ。真っ当に受け止めるには現実はちょっぴり厳しすぎた。ただそれを子どもたちに伝えたところで不幸しか生まれない。それをきちんとわかって、そのうえでの明るさだったのか、と、ここでママのことがだいすきになってしまう。

 

正直序盤はお姉ちゃんのリビーのありとあらゆる不安が伝わって伝わって、ママもかわいい天使のような妹のアンジェリーンも、リビーの気苦労を増やすことしかしない感覚になってしまうのだ。
でもどんなに不安な気持ちでいっぱいになってもスコットレーズの魅力には勝てないのだ。

 

ありとあらゆる売り場を少しお借りして生活を豊かに楽しく過ごす様子にはわたしもいきたい!と思わざるを得ない。
この売り場を通り過ぎたらあの売り場があって……たくさん場所の名前が出てくるようなはなしなんて普通に読んだら場所の想像がつかなくて訳が分からなくなってしまうのに、このおはなしはむしろどんどん楽しくなってしまう。


そして楽しいのは表だけではなく、裏側。従業員エリア。あんなにきらきらしたデパートの裏側ってどうなってるんだろう…!従業員の方の出入り口が開いていたらこっそりチラ見してしまうのは絶対わたしだけじゃないはず。…………思っていたよりキラキラしてない。硬い床にただの洗剤の香り。表も裏もキラキラしているなんてありえない。そんなものだ。しかし夢の世界ではなくそこは現実世界なので、住んでいるものにはとってもありがたい場所。その夢と現実世界の間も上手に使ってしまう三人の強さがまたきもちいいのだ。

 

そして現実味のないふわふわした綱渡りのような生活を描いているところから、スリルいっぱい勢いいっぱいの終盤にかけてのスピード感がもうたまらない。

 

夢のなかにいたはずなのに、気が付いたらページをめくるのドキドキしてるぞ、わたし…!

 

そのドキドキはぜひ読んでみて体験してほしい。

 

 

 

初めて読んだ中学生くらいのときから今まで何度となく見かけるたびに手にとってしまうのに、いつもふあふあしてドキドキしてしまう。
さすがアレックス・シアラー……。

 

子供のときにデパートに行くのがだいすきだったひとも、行ってみたいって想像いっぱいしてたひともどんなひとにも読んでほしい一冊。

台湾ひとり旅 その2

続きです!

 


そしてお腹も体も良い感じになったところで本命の九份へ!駅からバスが直行で出てるので楽ちんっ。バス停の場所がわからず客引きタクシーの運ちゃんに教えてもらう…!やさしい(笑)支払いも悠遊カードでピッで終わりなのでここも楽。帰りのぶんのチャージは必須です。

そしてこのバスが今回いちばんのどきどきポイントでした。スピードが速い、というのは聞いていたけどミシミシガタガタが凄くて!途中で分解したらどうしようかとはらはら。帰りのバスもなかなかのミシミシ感だったから大体こんな感じ…?うとうとしかけて揺れで窓に頭をぶつけるという流れを何度も繰り返しすっかりたんこぶを作ってしまいました。ふへ。


山の上まで登ったらみんなが降車するので流れに乗って降りてみたらそこが九份です。
雰囲気でいうと浅草の仲見世通りの幅を三分の一くらいにしたような感じ!
人の山とわいわいしたお店。たまに猫ちゃん。
欲望のままに食べたり横道それてみたりぼーっとしてみたりして。
もちもち好きとしては芋頭圓、最高でした。らぶ。
そろそろ帰ろっかなーってタイミングでライトアップされたので、九份で最も有名な撮影スポットへごーごー。
千と千尋ね◞( 、*´▿`)、

よく見る光景だーーーってぱしゃぱしゃ撮ってきました。完全に夜!ってわけじゃないけど、それでも綺麗。良き良き。帰りの激混みのバスになんとか乗り込んで戻りました。

中心部へ戻ったら夜はやっぱり夜市でしょーー!といちばん大きな士林へ。

ぷちんってするもち米の間に甘辛な味付けのソーセージが挟まれたものや、牡蠣卵焼き、魯肉飯などなど美味しく歩き回って、最後に杏仁スープ。タロイモ団子にタピオカなどなどたっぷり入って甘くておいしーっ!


幸せのお腹で帰路へ。ただ帰りにコンビニのぞいたらどうしても見逃せないものが…。

この陳列気になりすぎ!まんまとひとつ買いました。味玉っ。日本のものとは違う味付けですよん。これいくつか買って持って帰りたかったなー。

1日がっっつり動いたのでさくっと就寝。
最終日は朝ごはんで有名な阜杭豆漿に元気よく到着!したものの定休日だった!ので台北駅まで歩きつつ朝ごはん調達。適当に歩いててもなんかしら屋台出てるし安いし美味しいしで最高。調べずに食べたものたくさんあるけど、この値段で良いんですかってくらい、外れなしでした。どれもおいしくて常にお腹ぱんぱんだったけど、まだまだ食べたいものいっぱいあったよーーー。胃袋足りない。切ない。

 

台北駅周辺を散策してふらふら歩いて、空港へ。少しお金が余ったので最後にタピオカミルクティー。

おいしい、幸せ。
お昼過ぎの便で帰ってきました。

 

 


長い………(笑)
ひとりで行動するの普段からもだいすきだけど、どきどきは絶対的にあって。だけど、思っていたより、わたし、図々しく生きれたし、何でも楽しめた。
楽しかったし、なんといっても美味しかったー!っていう感想しか出ません。
はー!また行きたいなー。
台北、らぶーー。


最後にいちばん気になった写真で。

自撮りしてる………?

台湾ひとりたび その1

海外ひとり旅デビュー。
二泊三日で台湾に行ってきました。

 

「台湾は安全」
「ひとり初海外にはぴったり」
よく聞くし見るし、だけど、実際ひとりで行ってみるとなるとなんだかんだびびる気持ちもあった。
現地でひとと会う予定はあったけど、基本的にはひとりで過ごすつもりでスケジュールを組んだ今回の旅行。
国内はひとりであっちこっち行くけど、ここ最近はそれすらも行けてなかったので飛行機に乗ることも本当に久しぶり。
旅に出るには、なんにもいらない気もするし、あれもこれも必要だった気がして、いつも少しだけセンチメンタルになるね。
飛行機もホテルも行くところも食べるところも全部決めて手配して動いて。当たり前だけど、それなりのどきどき感。

 

成田から台北桃園空港まではあっというま。
到着してまずは、SIMカードの購入。中華電信という空港中にあるお店。三日間でインターネット使い放題に電話も出来て1000円くらい。とってもお得ー!予めインターネット経由で予約していったので予約しましたよって紙見せてあとは店員さんに言われるがままにしておくとすぐに世界と繋がれます。駅中とかはFreeWi-Fiあるけど、旅中ぐーぐるまっぷ先生に頼りまくるのでわたし的には絶対必要でした。


そしてそのまま日本で言うSuica的なものを購入。悠遊カード。f:id:timmit:20170318223020j:image

最初はいるのかしら、とも思ったけど、思っていた以上に電車を利用したしバスにも乗ったので買っておいて本当に良かった。便利な世の中。

 

ちょうど空港から台北駅までMRTが通ったあとだったので何も迷うことなく中心地へGO。そしてホテルにチェックイン。


思っていたよりも入り組んだ場所にあったのでちょっとドキドキしながら、チェックインを済ませ部屋に入ったら、なんだか明らかにひとの生活している痕跡が。なんかあやしいけど、言葉も通じないしこのまま気にしないフリをする……か??とも思ったけど、さすがにスーツケースがクロークに入っていたのでこれは汚さとかそういう問題ではないし、びびってる場合ではない、と思ってフロントに突撃。相部屋みたいな感じで予約が取れていたのか、単純に部屋案内を間違えたのかわからないけど、ひたすらにひとりがいいです、をアピール。なんとか部屋移動させてもらう。全然言葉わかんなかったけど、夜、部屋に帰ったときに他の人の荷物はなかったので意思は伝わったとみた…!初っ端からどきどき案件だったけど、これのおかげで少し吹っ切れた気がする。

 

到着日は知り合いの人とごはんっ。

定番の鼎泰豊。

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美味しすぎてにこにこが止まらなかったーーー!いきなり幸せすぎ。

 

次の日は朝に龍山寺観光。入ったらお経?なのかな。お寺の中にいる人みんな大合唱!そんななかをうろうろ。縁結びの神様で有名な月下老人さまにお願いごと。作法とか見よう見まねだし、そもそも日本語でお願いしてるから伝わってるかわかんないけど気合いだけ込めてきた!装飾とかが凄く細かくて派手派手で綺麗だったけど人混みが凄くて朝ごはん散策しにお寺から退散。


朝ごはんは地元の人気店、みたいなところで。

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鹹豆漿。豆腐になりかけみたいなスープなんだけど、これが凄く凄く美味しかった。今回いちばん気に入ったかなあ。油條もさくさくですき!

お店から出てふらふら歩いてたら胡椒餅発見ーっ!

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肉汁じゅわーーーーでしあわせ。ふっふー。出店でぜんざいも食べた。甘いお汁のなかにお豆がたくさん入っててかなりお腹膨れる。

 

お腹ぱんぱんだったので腹ごしらえも兼ねてお散歩しつつ中山記念堂へ。
でかかった…!!

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そしてとにかく暑かった………。

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びやーーーーーっと広がる何も遮るものがない広場に心折れる…。中では衛兵さん?がなにやらかっこいいことをしていたみたいで(撮影するために携帯を掲げてる人の画面をこっそり見た)人人人。なんにも見えなーい。ちょろちょろ歩いたり階段で自撮りしてる人たちをぼーっと眺めて休憩。

 

一通り満足したので西門駅までまたお散歩。途中で総統府見れた!建物自体もかっこよくて素敵だったけど道にある動物たちが気になって気になって…。

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台湾にとって所縁ある動物なのかなー?こういうのたのしい(*´▽`*)

 

西門ではマッサージを受けました。いたきもちいいーっ。店員さんひとりしかいないけど電話したらスクーターでぶわーってきて施術してまたぶわーって帰る感じ、なんか自由で良い。施術終わって着替えから出たら担当してくれたお兄さんがいたからありがとーっていう笑顔したら食べかけのみかんもらった……。ん??お店のすみにあるダンボールのなかに果物いっぱい入ってて持ってっていいよ的な素ぶりされたけど、いやいやいや、それは流石にあかんでしょう…(笑)みかんは美味しかった。お店から出たら入り口にいたまた別の店員さんに今度は丸ごと一個みかんもらった。……oh。わたしそんなにみかん欲しい顔してたかな????嬉しかったけど食べるタイミングが掴めず一日中かばんの中でごろんごろんしてました。美味しかったよ。謝々。

 

ながいのでわけますー!

『魔女の宅急便 その3』

みんなが知ってる魔女の宅急便
だけど、このおはなしが実はシリーズものだということってそこまで知られていないような気がします。
元々、連載ものということもあり短編形式。
それが集まって全部で第6巻まであります。
一巻ずつキキちゃんが成長していく姿が描かれているのですが、今回わたしがご紹介するのは第3巻。
魔女の宅急便その3 キキともうひとりの魔女」


16歳になったキキ。
コリコの街にも、宅急便の仕事も、第2巻から始めたくしゃみの薬づくりにも少しずつ慣れてきたところです。
そんなところになんでも出来ちゃう自信たっぷりの小さな女の子があらわれます。
魔女のしるしってなんなの?
変わらないことってそんなにえらいことなの?

と、キキがこれまで正しいと思って過ごしてきたものをくるくると惑わしていきます。

例えば、魔女はひとつの街に1人しかいちゃいけないという教え。
わたしがいたいんだからそんなのどうでもいいの、と、けろっとした顔でどんどん街に馴染んでいってしまう姿にキキは不安になっていくんですね。

それから、とんぼさんへの気持ち。

自分でも自分の気持ちがわからないのにじくじくする気持ちばっかり膨らんでどうしようもなくなっちゃう。

 

わたしはここにいていいのかな、いる必要があるのかな。

自分にどんどん嫌気がさして落ち込んでいっちゃう。
負のループから抜け出せなくなってしまうことって誰にでもあって。


でもキキはみんなに明るくて元気な魔女さんって特別な存在だって思われてる。
自分でもそんな自分でありたいから、余計に苦しくて。

「人ってときどき、ゆううつと仲良くなりたがるのよね」って。
そんな風に言われてしまって。

そんなことないって思うのに、それすらどうしたらいいかわからなくなってしまう。

自分を見失っていってしまうキキに思わずずきずきはらはらしちゃいます。

 

だけど、最後にキキはやっと自分のことを取り戻すのです。
少し荒療治な気もするけど、自分は自分でそれは絶対に確かなことなんだってわかるときは少しほっとします。

 

魔女の宅急便」はただのかわいい魔女っ子さんのおはなしなんかじゃない。
魔女だって普通の女の子で、普通に悩んで苦しんで前に進んでいかないといけないんだなあというのが感じられるおはなしです。

 

映画のなかでは曖昧だったとんぼさんとの恋も物語のなかでちょこっとずつ進んでいくところも楽しめるかも。

 

少し真面目で頑固でとっても頑張り屋さんなキキのことが凄く愛おしいし、ずっとそばにいる哲学屋なジジがむちゃくちゃ可愛い。

 

わたしに小さな子供がいたら毎日一話ずつ読み聞かせしたいなあとまだかけらも予定のない未来を思いを馳せてしまうだいすきなお話です。